2024.11.25
基板設計のポイント(QFPの例)
皆様こんにちは。
はんだ付け職人の大堀です。
基板実装のご依頼をお受けする中から、基板そのものの設計時点で、ほんの少し注意するだけで、はんだ付けに対して信頼性が高くなる基板(設計)にすることができます。
意外と気が付かない基板設計あるあるをご紹介します。
今回の事例は、基板のフットパターンです。
ある大学様から実装のご依頼を頂いたのですが以下の理由で実装することができませんでした。
表面実装部品の実装では、実装するICのデータシートに必ず推奨するフットパターン図が記載されています。そのパターンを基板設計に反映(ライブラリーに登録)しておけば、ほぼ間違いは起こりません。
ところが、同じピン数の部品だからと言って、そのまま使用すると大きな落とし穴が待っていたりします。下の写真をご覧ください。
一般的なプラスチックパッケージのQFPならば、ほぼ問題のないフットパターンなのですが、実験や試作ではいろいろなメーカーのIC(ピンコンパチ品など)を実装する事が多々生じます。
そのような場合、ここに同じピン数でも異なるパッケージのQFPを実装すると足が合わなかったりします。
同じピン数で同じピンピッチなのになぜそのような事がおきるでしょうか。
下の写真をよ~~~く見てください。
基板のランドよりリード端子が飛び出しているのがわかるでしょうか?
リード端子の飛び出しが、はんだ付けできない原因です。
こうなると、信頼性の極めて低いはんだ付けになりとても危険です。
今回は基板の作り直しとなりました。(下の写真が新しい基板です)
外周が大きくなっているのがわかりますでしょうか?
時間に余裕がある場合は基板の再設計ができますが、時間に余裕が無い場合(大抵はこちらです)は作り直す時間がありません。応急的にはこの部分に実装したかったQFPが合うソケットを実装するなどします。(必ずしもソケットが合致するとは限りませんが合えばラッキーです)
「予測して設計するのが設計だ」と言われてしまえばそれまでですが、人間なかなか思慮深く先を読むことが難しいのが通常です。しかしこのようなちょっとした失敗例をもとに改善できることは沢山あります。もし基板設計でお悩み事などがございましたら、今までの沢山の経験をもとにアドバイスさせて頂きますのでお問い合わせをお待ちしております。
これはちょっと余談ですが金属蒸着されたランド(膜厚1um程度)に部品を実装するといったご依頼を大学関係者様からよくご依頼を頂きます。(しかも鉛フリーはんだ指定で…)
はんだ付けは合金層を作るのが目的です。
1umの厚さでは、はんだ付けを行った瞬間にランドが無くなります。
(はんだ食われと言う現象です)
このような場合はランドの膜厚を厚くしないと根本的にはんだ付けをすることができません。
設計段階で加味して頂く必要があります。
はんだ付けに光を・・