2022.09.08
サーマルパッドに発生するボイド
こんにちは。はんだ付け職人の大堀です。
今回はなかなか見れない事例ですのでご紹介します。
ご相談者はICを実装したが所望の動作をしないためX線でICを検査したら、
大きな気泡(ボイド)がサーマルパッドと基板のランドパターンの間に発生していて、
ICが熱暴走していたとのご見解でした。
↓サーマルパッド部分に発生したボイドをとらえたX線写真
そこで、リワークのご相談だったのですが、、、大変申し訳ございません。
手はんだで、このボイドを除去してリワークを行うことは弊社で出来ません。(と、丁寧にお断りいたしました)
ではなぜ手はんだで出来ないのか?
単純に言えば、フラックスから湧いてくる気泡を止めることができないからです。
普通のはんだ付けは母材(表面の酸化銅)とフラックス(代表的な有機酸のカルボン酸)を使って熱を加えます。
すると、フラックスとの反応物(酸化物が除かれたフラックス成分と銅の化合物)と水が発生します。
この水が250℃近くの熱により水蒸気化してボイドとなるのです。
どんなに頑張っても手はんだでは無理な事が容易に理解できますよね。
そのため、真空ポンプで減圧したり、フラックスを使用せず蟻酸の雰囲気中でフローする方法が取られます。
これで随分とボイドの発生を止めることができるのですが、小型の装置でも高額です。
残念ではございますが需要から検討し、現在弊社では導入に至っておりません。
はんだ付けに光を・・